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東京地方裁判所 昭和48年(ワ)8804号 判決

原告(反訴被告)

須藤泰章

被告

三輝建設工業株式会社

被告(反訴原告)

白川正男

主文

一  被告らは各自、原告に対し金三八万三、〇〇〇円及びこれに対する昭和四七年八月二九日以降支払済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。

二  反訴被告(原告)は反訴原告(被告白川正男)に対し金八万九、四五〇円及びこれに対する昭和四八年一一月七日以降支払済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。

三  原告及び反訴原告のその余の請求を、いずれも棄却する。

四  訴訟費用中、原、被告らの間に生じたものは、これを三分し、その二を原告の、その一を被告らの、各負担とし、反訴原、被告間に生じたものは、これを二分し、その一を反訴原告の、その一を反訴被告の、各負担とする。

五  この判決は、主文第一項に限り、仮に執行することができる。

事実

第一当事者の求める裁判

一  原告(反訴被告)

(一)  被告らは各自原告に対し金一二五万四、一五六円及び内金一〇八万四、一五六円については昭和四七年八月二九日から、内金一七万円については本判決言渡日の翌日から、各支払済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。

(二)  反訴原告の請求を棄却する。

(三)  訴訟費用は被告らの負担とする。

(四)  第一項及び第三項について仮執行の宣言

二  被告三輝建設工業

(一)  原告の請求を棄却する。

(二)  訴訟費用は原告の負担とする。

三  反訴原告(被告)白川

(一)  反訴被告(原告)は反訴原告(被告)に対し金一八万一、九〇〇円及びこれに対する昭和四八年一一月七日から支払済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。

(二)  原告の請求は棄却する。

(三)  訴訟費用は原告の負担とする。

第二原告の請求原因

一  (事故の発生)

原告は、次の交通事故により負傷し、メガネを損壊された。

(一)  発生時 昭和四七年六月一一日午後〇時五〇分頃

(二)  発生地 東京都足立区加平町三の二の一二先交差点

(三)  被告車 大型貨物自動車(多摩四四二四号)

運転者 被告白川

(四)  原告車 普通乗用自動車(足立五五に七三六三号)

運転者 訴外須藤勇

同乗者 原告

(五)  態様 右折中の被告車と直進原告車が衝突

(六)  傷害の部位・程度

(傷病名) 第六頸椎左上関節突起骨折

(治療経過) 昭和四七年六月一一日から同年八月二一日まで入院

二  (責任原因)

被告らは次の理由により、原告に生じた損害を賠償する責任がある。

(一)  被告三輝建設工業は、被告車を保有し、自己のため運行の用に供していたものであるから自賠法三条による責任

(二)  被告白川は、右折するに際しては直進車両の進行を妨害してはならないのに、前方注意することなく原告車進路に右折進入した過失を犯し、これによつて本件事故を惹起させたものであるから、民法七〇九条による責任

三  (損害)

(一)  治療関係費

1 治療費 四四万二、三〇〇円

2 付添看護費 六万円

3 入院雑費 三万一、八〇〇円

(二)  休業損害

原告は、当時訴外東菱企業株式会社に勤務し、延一日当り三、一六六円の給与の支給を受けていたが、本件事故受傷により一一二日間休業を余儀なくされ、給与の支給を得られなかつたばかりか、それが昭和四七年一二月及び昭和四八年度の賞与額に影響を与え、又昭和四八年度の昇給にも影響を与えている。

1 休業損 三五万四、五九二円

2 一二月賞与減額 一〇万六、〇〇〇円

3 昭和四八年度賞与減額 一〇万九、八〇〇円

4 昭和四八年度昇給減額分 五万二、〇〇〇円

5 昭和四八年度有給休暇減分 一万二、六六四円

(三)  メガネ破損 一万五、〇〇〇円

(四)  慰藉料 三〇万円

(五)  弁護士費用

1 着手金 一〇万円

2 成功報酬 一七万円

四  (損害の填補)

自賠責保険 五〇万円

五  (結論)

よつて、原告は被告らに対し、各自金一二五万四、一五六円及び内未払の弁護士費用を控除した金一〇八万四、一五六円については本訴状送達の日の翌日である昭和四七年八月二九日から、内未払の弁護士費用金一七万円については本判決言渡の日の翌日から、各支払済に至るまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の、連帯しての支払いを求める。

第三被告ら請求原因に対する答弁

原告主張請求原因一の(一)ないし(五)の事実は認めるが、(六)の事実は不知

同二の(一)の事実は認めるが、(二)の事実は否認。被告白川に過失がなかつたことは、抗弁のとおりである。

同三の事実は不知

第四被告らの抗弁

一  (事故態様)

被告白川は、本件交差点にさしかかり、右折するため、交差点内に進入した地点において一旦停止し、対面信号から黄色燈火になつたので交差点中央付近まで時速約一〇キロメートルの速度で進行し、中心付近で右折しながら再度停止した。その時、対面信号が赤色燈火に変わり、対向車も停止したので、本件交差点の約七〇メートル先には同交差点に向つて進行してくる原告車を認めたが、赤信号であつたので、停止するものと考えて発進し、右折しながら、時速約一五キロメートルの速度で進行して、交差点を離脱しようとしたところ、赤信号を無視し、高速で進行してきた原告車が、左斜後方から被告車の左側中央部に衝突したものである。

二  (免責)

以上のように、本件事故は、原告車の運転手訴外須藤勇の信号無視、前方注視違反により生じた事故であり、被告白川には全く過失がなく、被告車は毎月一回修理工場での定期点検整備と、毎日の業務開始前点検とを怠らなく行われていたもので、構造上の欠陥も、機能上の障害もなかつた。被告白川は、昭和二六年大型自動車免許を取得し、以来運転に従事していたものであるが、従来無事故の運転手であつたのに、須藤勇は未成年者であつて、二カ月半前に免許を取得したばかりであつた。

三  (過失相殺)

仮に、被告らにも責任があるとしても、須藤勇に右のような、信号無視、前方不注視の過失があつたから、原告車の所有者で、右勇の実兄であり、同人に原告車を運転させていた原告の損害については、過失相殺されるべきである。

第五原告の抗弁に対する認否

抗弁事実は否認する。

原告車は制限速度を守つて走行し、本件交差点の停止線を越えた地点で、対面信号が青色から黄色に変つたので、速かに交差点を通過しようとしたところ、停止していた被告車が急に右折を開始してきたため、右勇は危険を感じ、急制動をかけるとともに左転把したが、被告車が進行を続けたため本件事故となつたものである。そして、両車の衝突場所も、原告車前部と被告車左側前部タイヤ及び運転助手席のステツプ部分とが衝突したものであつたが、被告車が制動をかけることなく進行したため、原告車は被告車にまき込まれるような状態になり、約三メートルひきずられ、被告車の左側中央部にも接触するに至つたものである。

第六反訴原告(被告白川)の反訴請求の原因

一  (事故の発生)

原告主張の請求原因一の(一)ないし(五)のとおりの事故により、被告白川の所有にかかる被告車も損壊された。

二  (責任原因)

反訴被告(原告)は原告車を所有し、実弟である須藤勇を使用して、原告車の運転に当らせていたところ、前記第四の一、二の如く、勇が信号無視、前方不注視の過失を犯し、これにより本件事故が惹起されたものであるから、反訴被告は、民法七一五条一項に基づき、被告白川の蒙つた損害を賠償しなければならない。

三  (損害)

1  修理費 一三万六、九〇〇円

2  休車損害 四万五、〇〇〇円

(修理期間の六日間休車した。一日当りの収入は、平均九、〇〇〇円であるが、支出を免れた経費として、一日当り一、五〇〇円を控除して算出)

四  (結論)

よつて、反訴原告は、反訴被告に対し金一八万一、九〇〇円及びこれに対する反訴状送達の日の翌日である昭和四八年一一月七日から支払済に至るまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

第七反訴被告(原告)の反訴請求原因に対する認否

反訴請求原因一、二の事実は勇に過失があつたとの点を除き認めるが、三の事実は不知。勇に過失があつたとの点は否認する。

第八証拠関係〔略〕

理由

第一事故態様について

一  (事故の発生)

昭和四七年六月一一日午後〇時五〇分頃、東京都足立区加平町三の二の一二先交差点において、被告(反訴原告)白川運転の大型貨物自動車(多摩一一や〇〇二四号)と、訴外須藤勇が運転し、原告(反訴被告)の同乗する普通乗用自動車(足立五五に七三六三号)とが衝突し、被告白川所有の被告車が損壊されたことは当事者間に争いがない。

二  (事故態様、過失割合)

〔証拠略〕によれば、次の事実が認められる。

(一)  本件交差点は、東(亀有)、西(日光街道)に通じ、歩車道の区別のある、車道幅員一六メートルの道路(通称環七通り)と、南(堀切)、北(神明町)に通じ、歩車道の区別のある車道幅員二二メートル(但し、中央部幅一〇メートルのグリーンベルト)の道路との十字型交差点であり、同所は信号機による交通整理が行なわれている。同交差点に入る各道路の、交差点の手前の部分には、いずれも横断歩道が設けられており、その手前にはいずれも停止線が引かれている。

(二)  訴外須藤勇は、原告車を運転し、環七通りを西進し、本件交差点手前においては時速五五キロメートル前後の速度で進行していたが、本件交差点手前の停止線より前の地点で、対面信号機の信号が黄色の燈火に変つたが、そのまま交差点を通過しようとかえつて若干加速して走行した。

ところが、原告車が横断歩道にかかつたとき対向してきた被告車が右折してきたため、右勇は急制動をするとともに、左転把し、一輪だけのスリツプ痕約一六メートルを残して、被告車と衝突した。

(三)  被告白川は被告車を運転し、環七通りを東進し、本件交差点で堀切方面へ右折しようとしていた。同人が、本件交差点に進入するときは、対向信号は青色燈火であつたので、対向車をやりすごすべく、道路中央の手前で一旦停止し、対面信号が黄色燈火に変つたのを見て、発進し、右折を開始した。その際、同人は対向してくる原告車の存在に気付いたが、その距離目測を誤り、同車がその時点では停止線とさ程の距離がなかつたのに、停止線との距離が三、四〇メートルもあると誤認したため、原告車が停止線で停止するものと判断し、同車の動静にそれ以上の注意を払うことなく右折を続けた。

被告車が右折を開始してから約一一メートル進んだ地点で、原告車前部が被告車左側運転助手席下ステツプに、次いでそれより後方の荷台下部に衝突した。被告白川は右衝突に驚き、急制動の措置をとつたが、被告車は速度が出ていたため、約三・六メートルのスリツプ痕を残し、約七・三メートル進行してようやく停止した。

以上の事実が認められ、証人須藤勇及び原告本人の、停止線の上か、横断歩道の上で黄信号になつた旨の部分、証人菅原昇及び被告白川の赤信号になつてから被告車は右折を開始した旨の部分はいずれも措信できず、この他右認定を覆えすに足りる証拠はない。

右認定事実によると、訴外須藤勇は、信号機によつて交通整理の行われている交差点手前に至つた線、自己の対面信号機が黄色燈火となつていたのであるから、本件交差点に入つてはならず、停止線で止まらねばならなかつたのに、黄色燈火のうちに本件交差点を通過しようと、かえつて加速して走行した過失を犯しているといわねばならない。しかし又、被告白川も、右折車は直進車の進行を妨げてはならないのに、走行してくる直進車との安全を十分に確認せず、対面信号が黄色燈火に変つたことを奇貨として、右折を開始した過失を犯したものといわねばならない。そして、本件事故は、右のような両名の過失によつて生じたものであることも明らかである。

ところで、便宜上、ここで両名の過失割合について検討するに、青色燈火で交差点に進入し、一旦停止後黄色燈火で右折をすることは何ら違法でなく、特に本件のような幹線道路においては、そのような方法でなければ右折は事実上不可能なことである。しかし、そのような場合にあつても、右折車としても、未だ対向直進車があり得るのであるから、それとの安全を確認して進行をすべき義務があるのに、この点において落度があつたものである。一方、訴外須藤勇は、被告白川が供述するように、停止線の相当手前の地点から黄色燈火となつたものとまでは認められないが、少し手前では黄色燈火になつているのであるから、停止線で停止すべきであつたのに、これを怠つたものである。このような両者の過失を比較すると、黄色燈火に変つていたことに鑑み、須藤勇の過失の方が大きいが、原・被告両車の車種からすると、被告白川としては大型車の運転者としては、他車との安全について、より重い注意義務が課されているものと認めるべきであるから、両者の過失の割合は五分・五分とするのが相当である。

第二本訴について

一  (責任原因)

被告三輝建設工業が被告車の運行供用者であることは当事者間に争いがなく、被告車の運転者被告白川に前記認定のように過失があつた以上免責される理由がない。自賠法三条に基づき、原告の蒙つた損害を賠償しなければならない。

又被告白川にも、前記認定のように過失があつた以上、同人も民法七〇九条に基づく、原告の蒙つた損害を賠償しなければならない。

二  (損害)

〔証拠略〕によれば、原告は本件事故により、第六頸椎左上関節突起骨折、第六頸椎亜脱臼、両上肢不全麻痺を受け、事故当日から昭和四七年九月一八日まで足立共済病院に入院し、その後同年一〇月末まで同病院に通院して治療を受けたこと、しかし、昭和四八年八月末時に至るも、疲れたり、天候が不順のときには、頸部痛や頸部運動制限等の症状が出ていることが認められ、右認定に反する証拠はない。

(一)  治療関係費

1 治療費

〔証拠略〕によれば、原告は右治療に際し、原告主張の四四万二、三〇〇円を下らない金額の支出を余儀なくされたことが認められ、右認定に反する証拠がない。

2 付添看護費

〔証拠略〕によれば、原告は入院期間中、担当医師から少なくとも二月間は付添看護を要すると診断されたため、実母に二ケ月半付添つてもらつたことが認められ、右認定に反する証拠はない。

そして、前記認定の傷病名等によると、右付添も本件事故と相当因果関係にあるものと認められ、これは一日当り一、〇〇〇円の割合による六万円を下ることはない。

3 入院雑費

入院中の患者が入院期間中の、栄養補給品・日用雑貨の購入や、通信・連絡のための費用として、少なくとも一日当り三〇〇円の支出を余儀なくされることは経験則であり、これと前記認定の入院期間によれば、原告は少なくとも三万円の支出をしているものと推認できるが、これを超えるものであることを認めることのできる証拠はない。

(二)  休業損害

〔証拠略〕によれば、原告は事故当時、訴外東菱企業株式会社に、係長として勤務し、月当り平均九万四、九八三円の月給を得ていたが、本件事故のため昭和四七年九月末まで欠勤を余儀なくされ、その間収入を得られなかつたばかりか、欠勤のため、昭和四七年一二月賞与も正常の場合に比べ一〇万六、〇〇〇円減額され、又有給休暇も昭和四八年度は正常時に比べ四日減日されたほか、昭和四八年度の賞与減額と昇給減額とで一五万円前後になる予定であつたこと、なお、原告は昭和四八年三月同社を退社したことが認められ、右認定に反する証拠はない。

そうすると、原告の休業による損害は、

1 休業損害 三五万一、四二六円

(三、一六六×一一一=三五一、四二六)

2 一二月賞与減 一〇万六、〇〇〇円

3 昭和四八年度の影響分 一〇万円

(昭和四八年度の損害で相当性のあるものは右程度である。)

である。

(三)  メガネ破損

〔証拠略〕によれば、原告は本件事故の際メガネを破損され、その新規購入に一万五、〇〇〇円を要したことが認められ、右認定に反する証拠もない。

(四)  慰藉料

以上認定したような、原告の傷害の部位、治療経過、勤務における影響等諸般の事情に鑑みると、原告の受けた精神的損害は、過失相殺を考慮しなければ、三〇万円を下らない金額で慰藉されるべきである。

三  (過失相殺、損害のてん補)

以上のように、原告が受けた損害は少なくとも一四〇万四、七二六円となるが、証人須藤勇の証言及び原告本人尋問の結果によれば、原告車を運転していた須藤勇は原告の実弟であり、原告車の所有名義は原告にあつたことが認められるから、右勇に前記したような過失があつた以上、原告の損害についても過失相殺をなすのが相当である。そうすると、原告らの損害のうち被告らにおいて負担すべきものは、前記原・被告車の過失割合に鑑み、約六割に当る八四万三、〇〇〇円とするのが、当事者間の公平に合致する。過失相殺の方法としては、過失割合によるという考え方もあり得ようが、過失相殺は、加害者間の負担を定める場合とは異り、当事者間の公平を図るための法理であるから、過失割合によらねばならないものでなく、一応それを参酌し、被害の費目、自賠責保険によるてん補額ないし予定額、自賠責保険支給の際の査定の実情等から総合的に判断すべきことである。そうすると本件では、右程度が相当である。

ところで、原告が本件損害に関し、自賠責保険から五〇万円を受給していることは原告において自陳するところである。

そうすると、原告において、被告らに支払を求め得る残損害は三四万三、〇〇〇円である。

四  (弁護士費用)

〔証拠略〕によれば、原告は、被告らが任意の弁済に応じなかつたため、その取立を弁護士である本件原告訴訟代理人に委任し、手数料として一〇万円を支払つたほか、成功報酬として認容額の一割を支払う旨約したことが認められ、右認定に反する証拠はない。

右認定事実及び、本件事案の内容、審理の経過、前記認容額等に鑑みると、原告のこの点の損害のうち、本件事故と相当因果関係にあつて、被告らにおいて負担すべきものは四万円とするのが相当である。

第三反訴について

一  (責任原因)

反訴被告(原告)が原告車の運転手である訴外須藤勇の使用者であり、同人が原告の業務執行中に本件事故を起したことは当事者間に争いがなく、そして、右勇に前記認定したような過失があつた以上、反訴被告(原告)は被告車損壊による損害を、民法七一五条一項に基づき賠償しなければならない。

二  (損害)

〔証拠略〕によれば、被告車は修理のため、六日間休車し、その間収益をあげることができなかつたこと、同車の一日当りの収益は少なくとも七、〇〇〇円となること、反訴原告(被告)白川は被告車の修理費として一三万六、九〇〇円の支出を余儀なくされたことが認められ、これに反する証拠はない。

これによると、反訴原告(被告)白川の蒙つた損害は、少なくとも一七万八、九〇〇円となるが、これを超えることを認めることのできる証拠もない。

三  (過失相殺)

前記したように、反訴原告(被告)白川にも本件事故発生につき過失があつたから、その過失割合に鑑み、同人が反訴被告(原告)に支払を求め得る損害額は、八万九、四五〇円とするのが相当である。

第四結論

そうすると、原告の被告らに対する請求は、三八万三、〇〇〇円及びこれに対する訴状送達の日の翌日であることが本件記録上明らかな昭和四七年八月二九日から支払済に至るまで、民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから、これを認容し、その余は理由がないので棄却することとし、反訴原告の反訴被告に対する請求も、八万九、四五〇円及びこれに対する反訴状送達の日の翌日であることが本件記録上明らかな昭和四八年一一月七日から支払済に至るまで、民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから、これを認容し、その余は理由がないので棄却することとし、訴訟費用の負担については民事訴訟法八九条、九二条、九三条を、仮執行の宣言については同法一九六条を、各適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 田中康久)

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